OAフロア施工の基礎知識と発注前に知りたい注意点

OAフロア施工は、オフィスや病院、学校などの配線管理や快適な空間づくりに欠かせないプロセスです。しかし「どのように施工されるのか」「施工時に注意すべき点は何か」といった疑問を抱く担当者も少なくありません。本記事では「OAフロア 施工」の基本から具体的な流れ、施工時の注意点までを解説し、導入を検討するための判断材料を提供します。
OAフロア施工とは?
OAフロア施工とは、既存の床上に支柱やパネルを設置し、新たな二重床を構築する工事のことです。床下空間に電源・LANケーブル・電話回線・空調ダクトを収めることで、配線の整理と将来的な増設の柔軟性を確保できます。施工には「置敷タイプ」と「支柱タイプ」があり、工期・耐荷重・配線容量などの要件に応じて選定されます。

置敷タイプ、支柱タイプの特徴
置敷タイプのOAフロア施工の特徴
置敷タイプは、床面に直接パネルを敷き詰める方式です。支柱を使用しないため施工がスピーディーで、低コストで導入できるのがメリットです。主な特徴は以下の通りです。
- 施工スピードが速い:支柱設置が不要なため、施工工程が少なく、短期間で施工しやすい点が特長です。
- 段差を抑えやすい:40〜50mm程度の低床仕様が中心となり、既存床との高低差を最小限に抑えられます。
- 性能面は限定的:高さ調整の自由度や耐荷重性能には制約があり、重量機器の設置や大容量配線には向きません。
支柱タイプのOAフロア施工の特徴
支柱タイプは、支柱を立ててその上にパネルを固定する方式です。高さ調整や耐荷重に優れ、大規模オフィスやサーバールームで多く採用されています。主な特徴は以下の通りです。
- 高さの自由度が高い:40mm程度の低床から、300mm以上の高床まで幅広く対応でき、配線容量や設備条件に応じた設計が可能です。
- 耐荷重性能に優れる:支柱で荷重を分散するため、サーバー機器や大型什器などの設置にも対応しやすくなります。
- 施工に時間とコストがかかる:水平調整や支柱固定が必要なため、置敷タイプに比べると施工工程は多くなります。
置敷タイプと支柱タイプの比較表
| 項目 | 置敷タイプ | 支柱タイプ |
|---|---|---|
| 施工スピード | ◎ 短期間で可能 | △ やや長め |
| 初期コスト | ◎ 低コスト | △ 高め |
| 高さ調整 | △ 限定的 | ◎ 幅広い調整可能 |
| 耐荷重性能 | △ 軽量機器向け | ◎ 重量機器にも対応 |
| 主な用途 | 小規模オフィス、教室 | 一般オフィス、病院事務室、サーバールーム |
OAフロア施工の一般的な流れ
OAフロア施工は、現地調査から引き渡しまで複数の工程を経て進められます。それぞれの段階を理解しておくことで、計画的に準備を進めることができます。
1.現地調査と設計
最初に行うのは現地調査です。施設の用途や将来的な配線計画を確認し、床面積や形状、天井高を測定します。その上で必要な高さや耐荷重を検討します。
※詳しくは「OAフロア高さの記事」や「OAフロア耐荷重の記事」をご参照ください。
2.施工計画書・図面作成
次に施工計画書を作成します。配線ルートやコンセント位置、スロープや框(かまち)の納まりを図面に反映し、工期や施工手順を明確化します。これにより、関係者間で施工イメージを共有できます。
3.資材搬入と下地処理
施工に必要な支柱やパネルを搬入し、既存床の清掃と高さのばらつき調整を行います。床下の状態を適切に整えることで、施工後の仕上がりや安全性が大きく変わります。
4.支柱・パネル設置
支柱タイプの場合はレーザー機器を用いて水平を確認しながら支柱を固定し、その上にパネルを設置します。置敷タイプではパネルを床面に直接並べていきます。必要に応じて補強パネルを組み込み、耐荷重を確保します。
5.仕上げ材敷設
パネルの上にカーペットタイルや塩ビタイルなどの仕上げ材を施工します。仕上げ材は内装デザインに合わせて選定されるため、施工後の印象を左右する重要な工程です。
6.完了検査・引き渡し
施工完了後には、耐荷重や水平精度、段差処理などを確認する検査を行います。図面通りに施工されているか、仕上がりに不備がないかをチェックし、問題がなければ引き渡しとなります。
OAフロア施工の注意点と失敗回避策
OAフロア施工は、配線整理や空間効率の向上に大きな効果を発揮しますが、計画や施工段階での見落としがあると、後々のトラブルや追加工事につながってしまいます。ここでは特に注意すべきポイントと、それを防ぐための具体策をご紹介します。
高さ不足による配線容量不足
リスク:初期段階でコストを優先して低床タイプを採用すると、配線が収まりきらず、後から増設時に再施工が必要になるケースがあります。
回避策:将来のICT機器導入やネットワーク増強を見据えて、余裕のある高さ設計を行うことが重要です。詳細は「OAフロア高さの記事」をご参照ください。
耐荷重不足による機器設置トラブル
リスク:大型複合機やサーバーラックを設置した際に、床の沈み込みや破損が発生する可能性があります。
回避策:設置予定の機器リストを事前に整理し、必要な耐荷重を算出することが大切です。特定箇所には補強パネルを追加し、全体の荷重分散を計画に組み込むと安心です。詳細は「OAフロアの耐荷重の記事」をご参照ください。
段差処理の不備
リスク:高さ100mm以上のOAフロアでは入口や廊下との接続部に段差が生じ、つまずき事故やバリアフリー基準不適合の原因となる恐れがあります。
回避策:スロープや框(かまち)を設計段階から組み込み、出入口や動線上の安全性を確保することが大切です。特に病院や学校施設では必須のポイントです。
工期遅延
リスク:資材搬入ルートが確保できない、施工可能時間帯に制約があるなどの理由で、工事が計画通り進まない場合があります。
回避策:事前に建物管理者と協議し、搬入経路・エレベーター使用制限・施工時間を確認しておく必要があります。夜間や休日施工の可否も含めて検討することをおすすめします。
内装材や天井高との不整合
リスク:OAフロアの高さ設定が不適切で、天井が圧迫され快適性が損なわれる場合があります。また、表層材の厚みを考慮しないと仕上げ面に段差が生じることもあります。
回避策:仕上げ材の厚みと天井高を含めて設計を行い、内装デザインと一体で検討することが必要です。
OA施工業者選びの注意点
OAフロア施工を成功させるためには、適切な業者選びが欠かせません。以下の観点を押さえることが重要です。
実績と専門性
OAフロアは配線・空調・耐荷重など多面的な知識が必要です。施工実績が豊富で、業種ごとに最適な提案ができる業者を選びましょう。
現地調査と提案力
単なる施工だけでなく、施設用途や将来の拡張を見据えた設計提案をしてくれるかが重要です。調査内容やシミュレーションの有無を確認しましょう。
法令・規格への適合
建築基準法やJIS規格に準拠した施工を徹底できる業者かを確認します。特に耐荷重や防火性能は安全性に直結します。
施工後のサポート
不具合対応や改修工事への柔軟性も判断基準です。長期的に付き合えるパートナーとして信頼できるかを見極めましょう。
業種別に見るOAフロア施工のポイント
OAフロア施工は、施設の用途によって求められる仕様や注意点が異なります。以下では代表的な施設ごとのポイントをご紹介します。
オフィス
- ポイント:配線容量とレイアウト変更への柔軟性が重要です。
- 推奨仕様:100〜150mm程度の高さが一般的で、LANケーブルや電源配線を効率的に収められます。
- 注意点:将来的な人員増加や席替えを見据え、余裕のある配線計画を立てることが大切です。
病院(事務室・待合室)
- ポイント:バリアフリー性と衛生性が最優先です。
- 推奨仕様:40〜50mm程度の低床タイプが一般的で、車椅子やストレッチャーの移動を妨げにくい構成とします。
- 注意点:事務室など配線が多いエリアでは、配線容量を考慮して100mm以上を採用する場合もあります。施工時は粉じん対策や清掃性にも配慮が必要です。
学校施設
- ポイント:ICT教育の普及に伴い、配線容量と耐久性が求められます。
- 推奨仕様:教室や図書館では50〜100mm程度、パソコン室やICTルームでは100mm以上が適しています。
- 注意点:多数の生徒が使用するため、耐久性と安全性の高い仕様を選び、段差解消もしっかり行うことが重要です。
サーバールーム・データセンター
- ポイント:大量配線と機器冷却の両立が求められます。
- 推奨仕様:300mm以上の高床仕様とし、空調ダクトや大容量ケーブルを床下に収めます。
- 注意点:重量機器を設置するため、耐荷重強化と補強パネルが必須です。空調効率を高めるため、床下の気流計画も同時に行う必要があります。
OAフロア施工に関するよくある質問
OAフロア施工の工期はどのくらいですか?
面積や仕様によりますが、小規模なら数日、大規模では1週間以上かかる場合もあります。夜間や休日施工にも対応可能なため、稼働中の施設でも業務に支障を与えず施工できます。
OAフロア施工後に高さを変更できますか?
大幅な変更は困難ですが、支柱タイプではミリ単位のレベル調整が可能です。将来の増設を考慮して余裕ある設計を行うことが重要です。
OAフロア施工の費用はどのように決まりますか?
主に施工面積・フロアの種類(置敷/支柱)・高さ・耐荷重・仕上げ材で決まります。初期費用だけでなく、長期的なメンテナンス性を含めたライフサイクルコストで比較することが重要です。
まとめ
OAフロア施工は、配線管理・安全性・将来の拡張性を左右する重要な工程です。現地調査から設計、施工、検査までを一貫して行うことで、快適で効率的な空間を実現できます。当社ではオフィスや病院、学校、サーバールームまで幅広い施工実績があり、最適なプランをご提案しています。詳しくはOAフロア施工の詳細をご覧いただき、ぜひお気軽にお問い合わせください。

記事の監修者

株式会社ティーアイ代表
岩井 利紀
2018年に個人事業として創業、2020年に株式会社ティーアイを設立。
関東を中心に二重床・仕上げ床など内装床工事を手がけ、これまで数百件以上の現場を担当。
職人として培った経験を活かし、柔軟な対応力と円滑な現場調整で高品質な施工を提供している。
